墓石は相続財産?それとも、生きた証?
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山口 博士
相続が発生すると、
不動産や預貯金、法人を経営されている方なら会社の株式など、
さまざまなものが次の世代へ引き継がれていきます。
その中には、意外と忘れられがちですが、お墓もあります。
墓石そのものが一般的な「財産」と同じように考えられるわけではありませんが、
誰がそのお墓を守っていくのかという「承継」の問題は、
これからますます増えていくのだと思います。
霊園や村墓地を歩いていると、長い年月を経た墓石に出会うことがあります。
中には、もう誰が管理しているのか分からないものもあります。
文字が風雨に削られ、少し傾きながらも、そこに残っている墓石。
そんな姿を見ると、私は少し寂しい気持ちになると同時に、
「この人も、確かにここで生きていたんだな」
と思わされます。
時々、墓石やお墓のことを「負債」のように扱っているのを見ることがあります。
もちろん、管理する人がいないお墓をどうするのかという現実的な問題はあります。
子どもがいないため、将来誰にも負担をかけたくないと、元気なうちに墓じまいをして、お寺などで供養してもらうという選択をされる方もいらっしゃいます。
それも、その人が家族や未来のことを考えた大切な選択です。
だから、残すことが正しいとも、
片付けることが正しいとも、簡単には言えません。
ただ、石材店として思うことがあります。
誰にも継がれなくなった墓石にも、その人が生きた時間があります。
名前が刻まれ、建立した年月が刻まれ、そこには家族の歴史が残っています。
墓石は、財産としての価値だけでは測れないものなのかもしれません。
誰かが覚えている限り。
そして、
たとえ誰にも名前を知られなくなったとしても、その石がそこに残っている限り、
「ここに、確かに生きた人がいた」
という証になる。
そう考えると、墓石というものは、少し不思議で、そしてとてもロマンのあるものだと思うのです。



